権威サイト6つをIndexReadyで採点したら、GEOは平均41点だった
筆者じょせふ· Webエンジニア / IndexReady 運営者「自分のサイトのスコアが低いのは、まだ作りこみが甘いからだ」——そう思っていました。ところが、世界的に名の知れた技術サイトを同じツールで採点してみたら、ある一点で揃って低い数字が出たのです。
この記事では、IndexReadyの採点ロジックを使って実在する6つの権威サイトを実際に分析した結果を共有します。数字はすべて、この記事を書くために自分の手で採点した実測値です。
どう測ったか
対象は、開発者なら一度は訪れたことがあるであろう次の6サイトです。各サイトのトップページ(Wikipediaは「検索エンジン最適化」の記事ページ)を1ページずつ、IndexReadyのSEO 18項目・GEO 14項目で採点しました。
PageSpeed Insightsの実測値も含めて、SEO 100点・GEO 100点の満点で評価しています。採点したのは2026年6月1日時点の各ページです。
結果:SEOは高いのにGEOは低い
| サイト | SEO | GEO |
|---|---|---|
| デジタル庁 | 85 | 39 |
| MDN Web Docs | 81 | 37 |
| Next.js | 77 | 28 |
| web.dev | 66 | 44 |
| Wikipedia(日本語) | 66 | 55 |
| GitHub | 63 | 45 |
| 平均 | 73.0 | 41.3 |
SEOの平均は73点。サイトによって63〜85点と幅はありますが、おおむね及第点です。これらが何年もかけて検索流入を積み上げてきたサイトであることを考えれば、納得のいく数字でしょう。
問題はGEOです。平均41点。最も高いWikipediaでも55点で、Next.jsにいたっては28点でした。SEOとGEOの差は、6サイトすべてで20点以上開いています。Googleが運営するweb.devやデジタル庁ですら、GEOは40点前後にとどまりました。
これは「採点が厳しすぎる」という話ではありません。同じツールでSEOは73点を出しているのですから、基準のせいで全体が低く出ているわけではない。SEOには手が入っていて、GEOには入っていない——そう読むのが素直です。
発見1:llms.txt は技術リーダーですらほぼ未導入
GEOの点を最も明確に落としていたのが llms.txt でした。6サイト中、満点に近い点を取ったサイトは一つもありません。MDN、web.dev、Wikipedia、デジタル庁は0点。Next.jsとGitHubでもllms.txt自体は見当たらず、robots.txtのAIクローラー記述から部分点が入った程度でした。
llms.txt はAIにサイト構造を伝えるとされる提案仕様ですが、Google自身は現時点でこれをランキングや引用のシグナルとして扱っていないと明言しています。今回の実測は、その状況を裏側から裏づける形になりました。世界トップクラスの技術サイトが揃って導入していない仕様を、慌てて追いかける必要はない——少なくとも、それを最優先にする根拠は今回のデータからは見つかりませんでした。
発見2:構造化データの差が、そのままGEOの差になっていた
GEOで明暗を分けたのは構造化データ(JSON-LD)でした。
最高点のWikipedia(GEO 55)は、構造化データ10点満点中5点、スキーマ完全性も8点中6点と健闘しています。百科事典らしく、定義から始まる明確な文章、豊富な内部の節構造、出典リンクが揃っているためです。
一方、Next.jsのトップページは構造化データ0点、スキーマ完全性0点。デザインとデモに振り切ったランディングページで、JSON-LDがほとんど置かれていませんでした。GEO 28点という最下位は、ここで大きく削られた結果です。MDNやデジタル庁も構造化データは0点で、ドキュメントとしての中身は濃いのに、それを機械可読な形で宣言できていませんでした。
AI検索は、ページの見た目ではなく構造を読みます。人間にとって完璧な技術文書でも、Article や BreadcrumbList のマークアップがなければ、AIにとっては「何のページか」を判断しにくい。今回の6サイトは、その差をきれいに映し出していました。
発見3:被引用性とパンくずは、ほぼ全滅
新しく加えた2つの項目でも傾向がはっきり出ました。
- 被引用性(AIが引用しやすい134〜167語前後の自己完結した段落があるか)は、6サイト中6サイトが6点中2点。トップページは短いキャッチコピーや箇条書きが中心で、そのまま引用できる「答えの段落」が乏しいためです。
- breadcrumb(パンくず構造化データ) も6サイトすべてが4点中1点。
BreadcrumbListを明示的に持つトップページはほとんどありませんでした。
トップページという性質上ある程度は仕方ない面もありますが、AIが回答の根拠として抜き出しやすい「自己完結した一節」をどこにも置いていないサイトが大半だった、という事実は示唆的です。
発見4:大手でもSEOの基本に穴はある
GEOばかり目立ちましたが、SEO側にも共通の穴がありました。
画像最適化はほぼ全サイトで満点を逃しています。width/heightの未指定やWebP/AVIF未使用が多く、デジタル庁やweb.devでも5点中1点でした。hreflangも、多言語サイトであっても明示がなく軒並み2〜3点。GitHubはsitemap.xmlが0点、Next.jsはcanonicalが0点と、意外な基本項目が抜けていました。
裏を返せば、これらの大手でも全項目を満点にしているわけではない、ということです。スコアは満点を取るゲームではなく、自分のサイトで「どの穴が空いているか」を知るための地図として使うのが実用的です。
なぜGEOだけが低いのか
理由はおそらくシンプルで、時間です。SEOという概念が生まれて四半世紀がたち、ツールもノウハウも十分に蓄積されています。多くのCMSやテーマには、titleタグやsitemapを自動で整える仕組みが最初から組み込まれています。
一方、生成AIによる検索が一般の人にまで広がったのは、ここ2年ほどの出来事です。今動いているサイトのテンプレートの多くは、AI検索を前提に設計されていません。Articleスキーマや被引用性といった項目は、誰かが意図して足さない限り、自動では埋まらないのです。
もう一つの理由は、測りにくさです。SEOの成果は検索順位やアクセス数として数字に出ますが、「AIにどれだけ引用されたか」は今のところ追跡が難しい。可視化しにくいものは、どうしても優先順位が下がります。今回の6サイトが映し出したのは、技術力の差ではなく、この「まだ誰も本腰を入れていない」という時間差でした。
サイトごとに見えた、具体的な穴
平均の話だけでは見えない、各サイトの個別の事情も書いておきます。いずれも今回の実測で実際に減点された項目です。
- デジタル庁(SEO 85・最高点) は完成度が高い一方、HTTPSの項目が6点中5点でした。HTTPSそのものは当然問題ないのですが、HSTSなどのセキュリティヘッダが一部欠けていたためです。公的サイトとしては押さえておきたいところ。
- MDN Web Docs(SEO 81) は、採点したトップページでOGPタグが0点でした。SNSでシェアしたときの見え方を制御するog:title/og:image等が、このページには置かれていません。世界有数のリファレンスでも、ページによっては基本タグが抜けます。
- web.dev(GEO 44) は、Googleが運営するWebパフォーマンスとSEOの情報サイトでありながら、採点したトップページで見出し構造が5点中0点、画像のalt属性も0点でした。Core Web Vitalsの解説で知られるサイトのトップ自身が、CWVの実測(8点中1点)で苦戦していたのは、少し皮肉な結果です。
- Next.js(GEO 28・最下位) は、canonicalタグとrobots.txtの参照がどちらも0点。デモ表現に振り切ったランディングページゆえですが、構造化データの欠如(0点)と合わせて、AI検索からは「中身を読み取りにくいページ」になっていました。
- GitHub(SEO 63・最低点) は、トップページからsitemap.xmlが検出できず0点、見出し構造も5点中2点でした。アプリケーションのトップとしては機能優先で、文書としての構造は薄くなっています。
- Wikipedia 日本語(GEO 55・最高点) は、意外にもmeta descriptionが0点。それでもGEOが最も高かったのは、構造化データとスキーマ完全性、出典リンクの厚みが効いているからです。一つの項目の穴は、別の強みで十分に取り返せる、という好例でした。
「権威サイトだから全項目が完璧」ということはありません。それぞれの目的に合わせて、力を入れる場所と抜く場所が分かれている——スコアはその配分を可視化してくれます。
GEOの差を埋めるには
今回のデータがほぼ全サイトで指していたのは、「構造化データ」と「被引用性」の2点でした。どちらも、特別なツールなしで今日から手を入れられます。
まず構造化データ。記事ページであれば、最低限 Article を宣言するだけでも、AIがそのページを「いつ・誰が書いた、何についての記事か」を把握しやすくなります。
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Article",
"headline": "記事タイトル",
"author": { "@type": "Person", "name": "著者名" },
"datePublished": "2026-06-01",
"image": "https://example.com/og.png"
}
</script>
加えて、ページ階層を示す BreadcrumbList を置くと、今回ほぼ全サイトが落としていたパンくずの項目も埋まります。
次に被引用性。各セクションの冒頭で、前後の文脈なしでも意味が通る形で結論を述べることです。「〇〇とは、〜です」と一文で定義し、続けて根拠を書く。この134〜167語ほどの自己完結した段落が、AIが回答に引用する単位になります。トップページの短いキャッチコピーだけでは、ここが埋まりません。
逆に言えば、これらは多くのサイトが後回しにしている領域です。SEOの基本を一通り押さえたうえで、構造化データと被引用性に先に手を入れれば、まだ競合が薄いうちに差をつけられます。
このデータから言えること
6サイトの実測から見えたのは、次のような構図です。
- SEOは成熟し、GEOは手つかず。検索流入で実績のあるサイトでも、AI検索向けの最適化は明確に後回しになっている。
- GEOの差は構造化データの差。中身の濃さよりも、それを機械可読に宣言できているかが点数を左右していた。
- llms.txtは急がなくてよい。技術リーダーすら未導入で、Googleも引用シグナルとしていない。
裏返せば、いま構造化データと被引用性に手を入れれば、まだ多くのサイトが手をつけていない領域で差をつけられる、ということでもあります。
注意点
公平のために、このスコアの限界も書いておきます。
- 採点したのは各サイトの1ページだけです。サイト全体の評価ではありません。トップページは構造化データが薄くなりがちで、記事ページなら違う結果が出ます。
- スコアはIndexReady独自の基準による参考値で、実際の検索順位やAIでの引用を保証するものではありません。
- 各サイトの目的はそれぞれ異なります。デモ重視のランディングページが構造化データを置かないのは、必ずしも「間違い」ではありません。
それでも、同じものさしで並べると傾向は見えてきます。あなたのサイトを同じものさしで測ると、どのあたりに位置するでしょうか。トップページのURLを一つ入れて、SEOとGEOの差がどれくらい開いているかを確かめてみてください。